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2015年1月 4日 (日)

2/16 a.m. 横空戦闘機隊の厚木からの迎撃

書棚にある羽切氏の著書245頁以降にある、横須賀海軍航空隊の迎撃戦の様子です。この時点では、実験部が厚木基地に間借りするような関係にあったようで、歴戦の搭乗員が防空任務にも就いていました。武藤金義飛曹長の名前も見えます。

痛ましい「横浜杉田搭乗員撲殺事件」についての記載があります。こちらについては、同じく書棚にある神田氏の著書207頁あたりを参照しています。

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部隊編成: 零戦×10機、紫電改×2機(試作三号機・羽切、試作四号機・武藤;橙色だった?)
指揮官・塚本祐造大尉

第二小隊長・羽切松雄中尉、二番機・志賀正美飛曹長、三番機・山崎卓上飛曹

第三小隊長・武藤金義飛曹長
任務:   関東地区敵艦載機迎撃
発進基地: 厚木基地
帰還基地: 厚木基地

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戦闘経緯は次のとおり。

早朝から空襲警報、第一配備。午前7時30分出発命令、敵戦闘機数十機、野島崎南方洋上三〇海里に発見。

発進、高度5000mへ。その後、横須賀上空、高度6000m。

塚本小隊、敵機発見。はるか西方に味方高射砲らしき弾幕多数。右前方、雲間のわずかな青空の中に敵発見、位置は三浦岬上空か。

距離1500m、敵はヘルキャット。距離800m、攻撃準備。

羽切小隊は斜め後上方より敵二小隊を攻撃、敵は前下方より反撃。羽切機は後下方より連射。20mm機銃四挺での三撃目で発煙、地上へ落ちて行く。

はるか前方、東へ向かう敵三機を零戦二機が追う。その北方では彼我十数機の乱戦。数機が落ちて行く。

羽切機は次の敵を捉えて射撃態勢に入るも、反撃に合い発射できず。更に後方からF6F、腹の下にもぐると零戦が追って行くが、紫電改でも追い付きそうにない。

気が付けば単機横浜上空、基地に帰投した。

戦果:撃墜五機

損害:未帰還一機(山崎機)、被弾中破(塚本機;弾痕多数、燃料を噴出しながら着陸、左の飛行靴先端を貫通していたが負傷なし)

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空戦中被弾、横浜の杉田に落下傘降下した山崎一飛曹機は、電線に少し引っかかったものの無事に降り立った。しかし、地元警防団(消防組+警防団の組織。場所としては磯子警防団)に敵と間違えられ、必死に説明しようとしているようだったが武器を手にした団員に袋叩きに合い、撲殺されてしまった。

何機かの僚機が上空からこの模様を目撃、帰投後、軍刀を手にした搭乗員十人余りが仇討に向かうつもりで、検死に立ち会った医務官に状況を確認にくるほど切迫した状況となった。医務科員であった神田氏の機転で一晩頭を冷やさせ、その後憲兵隊による調査はあったようだが、沙汰止みとなった模様。

以後、羽切中尉の提案により防空任務の搭乗員については、飛行服・飛行帽に日の丸印着用が義務付けられることとなる。

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昭和20年2月16日 関東大航空戦」に戻る。

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